慶応SFC大学院合格法。(付:学生さんによる慶応SFC大学院合格記)

桜井芳生 2001年9月22日 著作権保持。Yoshio SAKURAI  all rights reserved
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みなさんこんにちは。桜井芳生です。例によって(ただし、今日は)橋爪大三郎さんの著書『言語派社会学の原理』の書評会(言語研究会主催)で、東大本郷にきています。

鹿児島大学の指導している学生さんが、慶応SFCの大学院を受験するので、合格へのアドバイスをかいてみまいした。
 

1。「受かるつもりで」受ける。

慶応とか東大とか、いわゆる有名大学の大学院を受ける人は少なくありません。が、その多くは、名前にまけて?、本気でうかるつもりでなく受けるひとが多いようです。が、本当に受かるつもりで準備すれば、外部からでも十分合格可能です。逆にいえば、受験者倍率が高くても、そのほとんどは「うかるつもりのない記念受験組」です。ので、「本気で受かる気になるだけで」あなたはかなり優位にたてるでしょう。これがまずは、第一のこつです。
 

2。情報戦をみずから勝ち抜く覚悟!

少子化や受験産業(や、回転寿司?)の影響で、昨今の学生さんは「有益な情報は座っていれば向こうからやってくる」という習慣を持ってしまっている人が多いようです。が、大学院受験にはまだ完備された「産業」は成立していません。ので、これまた逆にいえば、自ら情報戦を戦い抜く覚悟をもった人はとても有利になります。具体的には、たとえば、SFC(受験)に関する活字情報とネット上情報は「すべて」みるようにしましょう。また「電話をかけまくって」実際に受検したひとなどに話をうかがいましょう。
 

3。「前期」「後期」両方受検する。

前期と後期、二回受検できるのをご存知ですか。とくに、前期はかなりはやくしめきってしまいます。前期合格でも通常どおり次年の4月から入学できます。チャンスが二回になるので、逃す手はありません。これが、最大の裏わざの第一です。
 

4。合格者の、「研究計画書」の「実物」を、ネットでみる。

sfc大学院入試には、志願時に提出する「研究計画書」が、大きな比重を占めます。が、これもあまりしられていませんが、sfcのホームページをつるたぐっていくと、在学者(つまりは、合格者)の、研究計画書の実物を掲載しているものが多くあります。やはり、「実物」のもたらす認識利得は多大です。みられるだけ全部みておきましょう。

5。「プログラム制」の「たてまえ」を尊重しつつ、過度に「だまされない」こと。

慶応sfcでは、ごく最近、従前のプロジェクト制から、プログラム制に、制度改革がありました。この制度改革が、なぜなされたか、ということ自体、受験者の立場からは、とても関心を引きます。ここで二つ注意点があります。第一は、プログラム制は、sfcの「ウリ」です。ですから、入試の面接の際に、研究計画とプログラムとの関連性をしつこく聞かれる可能性が高いということです。自分の研究計画が、プログラム体系のなかにどう位置づくのかうまく説明できるようにしておきましょう。第二。とはいえ、諸プログラムは、はやりもの系に偏重しているきらいがあります。プログラムの網にも、「ぬけ」がある可能性があります。それにおうじて、あなたのやりたいテーマにあったプログラムがみつからないばあいあります。その場合も、受験をあきらめないように。スタッフの先生方の「個人個人のホームページ 」を必ずよくみるように。先生によっては、「プログラム 」にいまいちぴったりあわない(失礼!)先生もいるようです。そのような先生を、指導教員として「ねらって」みるのも「手」です。

6。「行くに値する」大学院に、行こう!

最近の日本では、諸般の事情によって文科系大学院修士課程が、激増しています。が、その大部分は、「行くにあたいする」ものであるか大いに疑問です。慶応sfcが、行くに値する大学院であるか、私には保証はできません。が、数少ない行くに値する大学院である可能性は高いでしょう。読者のみなさんはご自身で十分調査なさってご自分の「責任 」で進路選択をなさってください。その際、「慶応sfc」などの「名前に負ける」ことなく、選択に値する進路とおもったらぜひ挑戦してみてください。現在日本の文科系大学院は非常に入りやすくなっています。合格不可能な大学院はほとんどないとおもいます。

(付:学生さんによる慶応SFC大学院合格記)
 

慶応sfc大学院を受験されたかたから、受験体験記・合格記をいただきました。
とても参考になるので、ご了解のうえ、「転送」「紹介」させていただきます。
謝謝!!

(以下引用)

SFCの春入試受験者数は約350人でした。
「受ける人数が多いなー」「プログラムごとにとるんやろ?」「なんとかコネつくっ
た」という声が聞こえました。
 

今回は横書きの原稿用紙990字、自分のテーマの言及は指示されておらず、書きや
すくはありました。

僕は、【】を使った小見出しを用い、内容もばくち的(注1)になりましたが、埋め
るには埋めました(988字)。

注1)「資料は、IT革命だ知識社会到来だコラボレーションだと言うが、前提となる
コミュニケーション能力には問題はないのか?これを忘れては困る。今の日本、教育
を見直すべきだ。知の生産のためには知識詰め込み型教育ではだめだ、諭吉も言って
らっしゃる。自ら考え、議論せよ。また現行の教育は、マクルーハンの『メディア
論』の見地からいって、時代に則しているか。云々。そして結論、福沢の言うところ
の真の文明、智徳の獲得のために本を軽視するな。」というあらすじ。
 

小論文試験の感想としては、
真っ向勝負、つまり与えられた資料を見てから考え始めるのはきつい。
90分内で推敲はできない。
(今回のようなパタン、見出しのない)英文は読んでられない。どこに命題があるの
か見えづらい。
ネタ、ヤマかけ、雛型が必要。

月並みになりますが、やはり福沢の『文明論之概略』『学問のススメ』とインター
ネット関連の諸問題への考えをまとめておけば、つぶしはききます。
ということで今回、福沢思想へ理解が深まりました。

いろんな意味で受けてよかったと思います。ありがとうございました。

(以上「受験記」)

過日「慶応SFC大学院受験記」をかいてくれた指導学生さんが、無事合格しました。
おめでとうございます。また体験談をいただきましたので、ご了解のうえ、転送いた
します。ありがとうございます。

なお、以下で「プログラム」とあるのは、最近SFCで改革があってできた「研究専攻
テーマ・領域」のようなもの(以前の「プロジェクト」の改組?)です。
謝謝!!

(以下引用)

SFCは受かりました。
 もぐりこむことができたのは、まったくもって桜井先生のご指導やご助言のおかげ
です。ありがとうございました。おっしゃっていたことはすべてあっていました。

 二次の面接では三球三振といった感じだったので、受かる気はしてませんでした。
院の入試の何たるかを知り、自分を見失って数日間ボーっとしました。

以下回想(自己防衛機能が働いてか、もう忘れかかってます。)

【面接について】

 面接は間違いなくプログラムごと行われてました。
 僕の場合、自分の研究計画と一応は選んだプログラムとの接点に苦しみ、具体的な
答えは出ませんでした。
 しかし、面接ではその痛いところしかきいてきませんでした。そして、かみ合いま
せんでした。

 それでも僕はわが道を行くという方針を崩さず、何とか見つけ出しておいた経済学
方面の教授を何人か挙げ、「フリーター問題について雇用創出の観点からに取り組
む」のようなことを言いました。しかし、面接担当の先生方(4人)からは、「(経
済政策では)視野が狭い」「うちではどのような方法でやるか」とあくまでも志望し
たプログラムでどう研究を進めるのかを問われました。
 僕は、「プログラムを受けに来たのではないし、そこまでプログラムは重要なの
か」といいたいのを我慢して、「フリーターの分析をこのプログラムの意味付け論で
行う」と抽象的な関連付けで逃れようとしましたが、「具体性な方法論は?」という
話になり、そこまで考えてないと言わざるを得ませんでした。そのあとは「分析も行
いますが政策重視で」と開き直りました。
 最後に、「君の長所は?」という問いに、「物事をいろんな方向から見るようには
しています。あ、今日は経済のことばっかり言ってますけど。」と自らとどめをさ
し、15分程度の面接を終えました。

 もはや、スーツ着てきてないのは自分くらいということだけが唯一の強みでした。

【前期の最終合格者127人】

 面接では30人ぐらいしか落ちていないです。一次試験(特に書類審査)である程
度決まっているのかもしれません。面接の最初に意思確認がありました。
もしくは、人気のありそうなITビジネスなどのプログラム内で競争があったのではな
いかと思われます。

 研究計画書はさすがに大きな位置をしめています。プログラムにある程度対応して
おく必要があります。

(引用終わり)

★慶応SFCにかぎらずあなたの大学院受験体験など、どうぞお寄せ下さい!!。

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