980824【「男らしさの1940年体制」の崩壊?】

           桜井芳生(著作権保持)
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980824【主要命題】現在の男の変化は、「男らしさの1940年体制」の崩壊として解釈するのが、かなり説明力がある、だろう。

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980824現在日本において「男らしさ」に関しての社会通念が変化しつつある、という観察がよくなされつつあるようだ。そして、その説明図式として「戦前の男らしさから、現在(戦後)の男らしさへ」「内面から、外面へ」といって図式が提起されているようだ。

980824私桜井は、このように「男らしさの通念が変化しつつある」という事実認定は同意する。が、その説明図式としては、別の図式の方が有力ではないか、とおもう。すなわち、「高度成長の終焉による、男らしさの変容」あるいは「男らしさの1940年体制の崩壊」である。

980824近い過去において「内面的な男らしさ」と思われていたのは、じつは「出世可能性の高さ」のことだったのではないか。

980824先進国にキャッチアップするという機能問題のためには、即時的な異性(女性)へのセックスアピールの顕示は「禁欲」させて、国家全体の経済発展に貢献した度合いに応じて報酬をえられるシステムが機能的だろう。すなわち、その場で女にもてるかどうか競わせるよりも、まずは「出世」を競わせてその成功者が高い報酬と(それによる、また、それ自身報酬としての)「いい女」をえられるシステムが機能的であったのだろう。

980824このシステムを、「男らしさの1940年体制」とよんでも、大過なさそうである。

980824この「出世競争と、それによる配偶者獲得」のゲームの前提が崩壊しつつあるのが、現在だろう。高度成長の終焉とともに、このゲームに参与することに勝算を感じない男が多く(「全員」、とはいわない)なってきているのではないか。

980824この出世ゲームに参与しない男は、「その場での、セックスアピールによる、異性(女)獲得」を指向するだろう。これが(一要因として)「男らしさの変容」として現象していると私桜井は推測している。(「スーパー高校生」ブーム?)

980824ただし、人間は、他の動物とくらべると、セックスアピールの源泉が確定していない動物であるようだ。したがって、「どうすることこそが、異性(女)にもてることなのか」について、社会的規模での模索現象がおこるだろう。

(本文は、鹿児島大学現代メディア文化論ゼミ合宿での学生さんの発表に啓発されたものです。感謝します。)

謝謝!!

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