電子ネット上の「お立ち台」
     桜井芳生
 

sakurai.yoshio@nifty.ne.jp
http://member.nifty.ne.jp/ysakurai/

 
周知のように、最近は、パソ
コン通信とか、インターネット
とか呼ばれるコンピュータを介
したコミュニケーションが盛ん
である。

いままでのマスコミュニケー
ションとは異なり、これらは「
双方向」的なコミュニケーショ
ンであると、よくいわれる。

しかし、注意すべき点がある
。電子ネットにおけるコミュニ
ケーションはたしかにタテマエ
としては「双方向」であるが、
実際に「書き込み」をする人は
一部分で、大部分は「読むだけ
」の人である。

その意味で、パソコン通信は
むしろ「半双方向コミュニケー
ション」と呼ぶのがふさわしい
( 吉井千周氏の指摘による)。

たとえて言えば、ディスコに
おける「お立ち台」のようなも
のだ。誰でも「お立ち台」にの
ることはできる。しかし、実際
には、少数のひとだけが、お立
ち台にたち、ひとびとの注目を
浴びる。

今後の電子ネット上のコミュ
ニケーションにおいても事情は
似たようなものとなるだろう。
可能性としては、誰でもネット
に書き込みをし日本中・世界中
からの注目を受けることが可能
だ。しかし、実際に「お立ち台
にあがる」人は一部分だろう。
 
自分のことを振り返ってみて
も、はじめてネットに書き込み
をする際の心理的な「敷居の高
さ」は、かなりなものである。

しかし、ひとたび電子ネット
という「ステージ」に立ってし
まうと、日本中から注目されて
いるという快感は筆舌に尽くし
がたい。( カラオケの比ではあ
りません) 。
来るべき電子ネット社会にお
いては、こうして「踊るアホウ
」と「みるアホウ」との二極分
解が生じる、と予想できるので
はないだろうか。
 
 桜井のページにもどる