桜井芳生
sakurai.yoshio@nifty.ne.jp
http://member.nifty.ne.jp/ysakurai/
【大学院受験は今や「受け手市場」である】
私自身国立大学の教員なので、あまり舞台裏をあかしたくないのだが、今や大学院は、全般的に言って「受け手市場」である。多くの大学院では、現在「入学者実績」がほしい状態だ。受け手にとってはまたとない「チャンス」である。また、この入学者は、その大学の出身者である必要は全くない。すなわち、「出身大学に関わらず、進みたい大学院」に進学するチャンスである。
【東大大学院のおすすめ】
私は、一橋大学から東大大学院に進学した。大学院進学者希望者には、是非東大大学院をおすすめしたい。現在の日本の学界状況からすると、研究者になるなら、東大大学院に進むことが名実ともに【非常に!】有利であるとおもう。
【ちゃんと受験勉強すれば、東大大学院も受かる】
東大大学院を受験する人はけっこう多い。しかしその多くは「受かる気のない、想い出づくり」組だ。どうも「東大」の「名前に怖じ気づいて」しまって「ほんとに受かる」つもりで準備しない人が多い。はっきり言ってしまえば「東大(の学部)」に合格するよりも「東大大学院」に合格するほうが何倍も容易である。
【自動車免許ぐらいは、コストをかけること】
自動車免許を持っている人は多いだろう。免許をとるためには、25万円なり70時間なりの手間暇カネが最低でもかかる。大学院受験でもこのぐらいのコストは準備にかけてほしい。
【答案書写・z会添削の、すすめ】
具体的な受験勉強ついて。やはり過去の出題問題を自分で解いて「書いてみる」のが中心になる。とは言っても、なかなかこのような「過去問答練」はおっくうである。やろうやろうと思ってもなかなかはかどらない。それで、「最低限これだけやれば、合格の可能性が見えてくる」という【最簡略のウラワザ】を「二つ」考えてみた。
【第一のウラワザ。「答案書写」!】
最近自分の志望大学院に合格した人を訪ねる。その人が受験勉強で書いた「答練の答案」をコピーさせてもらう。そして、うちに帰ったら【その答案を、丁寧に、一題づつ、「書写(かきうつし)」して、覚える】。
これだけ!、である。
おそらく10〜15題「書写→暗記」すれば、合格の可能性が生じ、20題やれば、かなり合格可能性が高まり、30題やれば、合格確実にちかづくのではないだろうか。
ガクモンとは言ってもまずは、「マネ」から始まるものである。とくに、学科試験の答案などは、【オリジナリティなどいらない】。
どうやって書いていいか悩んでいるより、先輩の答案をそのまま何題も、書き写して覚えてしまった方が、「進んでいる」といえる。
何題も書写して覚えているうちにだんだんとこつがわかり、自分の独自の答案もかけるようになっていくだろう。
いつも言うことだが、腕組みをして【頭を使う、より、手を使え】で、まずは先輩の答案を書き写して、【受験勉強を軌道に乗せ】よう。
注意点は、試験ではワープロを使えないので、【必ず、手書きで書写すること。そうしないと本番で「漢字」がかけなくなる】。
【第二のウラワザ。「z会京大コース!」】
大学院入試では、外国語の点数が足りなくて落ちる人が多い。最近では、外国語「一か国語」すなわち英語だけでよいところが多くなっているにもかかわらず、である。
大学院受験英語に関しての、最大の思い違いは、「大学院受験なのだから、大学(学部)受験とは違うことをしなければならない」と「私は、大学は合格したのだから、大学受験英語はできている」という二つの【思い違い】である。
単純に言ってしまえば、「大学院の受験英語」は、大学受験の英語が完璧にできていれば大丈夫である。
また、大学4年生で、大学受験英語の実力が十分ある人はほとんどいない(「高校の英語教師」を経験した人を、受験指導したことがある。彼もできない部分がけっこうあった)。
で、おすすめしたいのが、「z会の京大コースの添削」と「でる単・でる熟」である。
まあ、だまされたと思って、z会の英文解釈の添削をやってごらん。きっと「赤字だらけ」になってかえってくるよ。
ここでのウラワザは、東大志望でもあえて「京大コース」を選択することだ。京大の学部入試は、英文解釈と英作文だけなので、大学院入試に形式により近いからだ。
あと、自分の受験する大学院の「過去問(英語)」を全訳して誰かにみてもらって、知らない単語を全部覚えれば、とりあえず十分だろう。
【これだけやっても受からなかった方は、お便りください。おわびします。】
以上の「過去問答案20題書写」「z会添削」「でる単・でる熟」「過去問単語」をやっても合格なさらなかった方は、ぜひ私にお便りください(JDP01440@niftyserve.or.jp)。謝罪いたします。「敗因分析」をさせていただき本稿のヴァージョンアップの参考にさせてもらいと思います。ぜひ、お便りください。
【その他、やった方がよいこと】
以上、学科試験と語学試験の対策を述べた。これ以外に「論文」を書かせたり提出したりさせる場合が多いだろう。
これに対しては、「簡略ウラワザ」は存在しない。地道にガクモンするしかないだろう私のホームページhttp://ac3.aimcom.co.jp/~sakurai/にある、「卒論の書き方」のたぐいなどを参照してください。
大学の、「ゼミ」では必ず毎回発言してください。自分の指導教官以外のゼミにもどんどん「飛び入り」してください。
また、研究会や学会にも積極的に参加してください。(橋爪大三郎さんなどがなさっている言語研究会をおすすめします。お問い合わせいただければ御紹介します。JDP01440@niftyserve.or.jp桜井宛。)
友人などと、答練の「勉強会」をするといいでしょう。
英語の専門辞典(社会学辞典など)を、友人と読むと、専門の基礎知識と英語力がついて一石二鳥です。(小林氏のご教示による)。
専攻する学問の「古典」「現在ホットな文献」などの勉強会(自主ゼミ)などもどんどんしましょう。
桜井研究所メーリングリストなど(http://ac3.aimcom.co.jp/~sakurai/参照)など、メーリングリストで、「議論」の練習をしてみるのもいいかもしれません。
小野田博一『論理的に話す方法』(1996日本実業出版社)の練習問題 で、論理的に考えるトレーニングをするといいでしょう。
【受験直前期の注意点】
・ 「朝型キープ」。
受験当日の試験時刻にあわせて生活時間を朝型にしておきましょう。午前中に友人と勉強会をするのをおすすめします。
・ ゼブラのチェックセットで、漢字が書けるかチェック!
けっこう暗記すべきものを忘れているものである。ゼブラのチェックセットで、ちゃんと「漢字がかけるかどうか」を、「塗りつぶして、シートをかぶせて消して、書いて」チェックしましょう。
・ 面接試験用に、「想定問答集」
二次試験として「面接」がある場合が多いでしょう。想定問答集をつくっておくと安心です。他大学からの受験の場合は、【なぜ、本学を受験したか】を聞かれる場合が多いので回答を用意しておきましょう。
(本稿は、私の前に書いたもの、並びに、東大大学院小林盾さんの書いたもの、また、鹿児島大学から東大大学院に進学されたAさんとの会話を、参考にしました。お二人にお礼申しあげます。)