『8時だよ!、全員集合』と『ドリフの大爆笑』との間には、画期的な笑いの差異が存在する。(『踊る大捜査線』作者・君塚良一氏のシナリオ作法と関連させて)。

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【主要命題】『8時だよ!、全員集合』と『ドリフの大爆笑』との間には、画期的な笑いの新要素が出現しているかもしれない。すなわち、それは、「ニヤけ」を含んだ「笑いの、3元モデル」である。

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『踊る大捜査線』のシナリオライター・君塚良一氏の作劇技法はとてもきょうみ深い。

(htp://www.alpha-net.ne.jp/users2/kobayuji/kimiduka3.htmsan 参照。このWEBページは、鹿児島大学学生Aさんの研究発表で知ることができた。また、本稿自体Aさんのご発表に多くを負っている。感謝します)。(よく「Aさん」がでてきますが、すべて別人、です)。


とくに興味深いのは、「笑いの三要素」として「ボケ・ツッコミ・ニヤケ」を指摘していること、である。

「ボケ、と、ツッコミ」の「二元モデル」は、よく聞く。が、「ニヤケ」の入った三元モデル?、は、はじめて聞いた。

第三の「ニヤケ」とは、「ボケ」と「ツッコミ」の状況を見て、「ダメだこりゃ」と思っている人間、のことだそうで、「和久さんに扮したいかりや長介は、まさに「ダメだこりゃ」の役に適役だったわけだ。」(小林雄次氏)と、いわれる。

上述のWEBページによると、シナリオライター・君塚良一氏は、萩本欽一の弟子からはじめたがゆえに笑いに精通している、とのことだ。

が、まさに「いかりや長介」に「ダメだこりゃ」といわせることから、これは、『ドリフの大爆笑』を想起させるだろう。

と、ここまで考えてくると、同じ「いかりや長介」でも『8時だよ!、全員集合』におけるいかりや、と、『ドリフの大爆笑』におけるいかりや、とでは、かなり機能価(はたらき)がことなっていることにきづく。

すなわち、対比的に理念型化すると、『8時だよ!』においては、加藤茶(初期)や志村けん(後期)が、「ボケ」るのにたいして、いかりやは「バカァーッ」と「ツッコム」役回りであったといえるだろう。

それにたいして、『大爆笑』においては、いかりやは、「ダメだこりゃ」と「ニヤケ」る役回りであったといえそうだ。

とすると、とくに『8時だよ!、全員集合』から『ドリフの大爆笑』のいかりやをめぐって、「ボケとツッコミ」の笑いの二元モデルから「ボケ・ツッコミ・ニヤケ」の笑いの三元モデル、への、「画期的移行?」が生じていた可能性がある。
 
 

(追記1)君塚氏は、「ニヤケ」と呼んでいるが、この「第三の要素」についてはもっとよい名付けがあり得るような気がする。

(追記2)、(第三要素を、ニヤケと呼ぶにせよ否にせよ)このような「笑いの三元モデル」についての、「1.言及」ならびに「2.『ドリフの大爆笑』以外の起源候補」など、ご存じでしたら、ぜひご教示ください!!。

謝謝!!。

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