桜井芳生 991124 Yoshio SAKURAI (all rights reserved)
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【主要命題】
1.クレジットカードを「持てる者」と「持てない者」との「階級分化」社会、が早晩やってくる。
2.クレジットカードを取得できるときに取得しておきほとんど使わずにクレジットをきれいにキープしておく,のも得策かもしれない。
3.サラ金に手を出すのは、「人生半分捨てる」覚悟が必要かもしれない。
1999年11月17日の日本経済新聞「となりの超人類 若者考現学 3」を見ていたら、いわゆる「多重債務」におちいる20代の若者が多いということが書いてあった。このこと自体は、よく聞く話だ。
が、この記事では、最近の若者全般の傾向の一つとして金遣いがふれられているだけで、一種の「階級分化」として多重債務者が言及されていないのが気になった。
アメリカで日本人向けのコミュニティー紙などをごらんになったことがある方はご存じかと思うが、アメリカでは、クレジットカードの「クレジット」がかなり大きな意義・重要性を、もっている。
買い物自体が、かなりの部分クレジットカードによっているし、買い物によっては、現金をうけつけず、クレジットカードか小切手しか受け付けない取引も多いようだ。
レンタカーを借りるときなど、クレジットカードが身元保証のかわりとなり、クレジットカードがないと多額のデポジット(保証金)が必要になる、と聞く。
すなわち、クレジットカードは、1もともとの支払い機能としてほとんど必要不可欠となっており、2支払い機能以外にもまさにクレジット(信用)の証として大きな重要性をもってしまっている、わけだ。
が、いうまでもなく、クレジットカードをもてない人たちがいる。収入が乏しくてカード会社の審査を通らないひとのほかにも、多重債務や引き落としで焦げ付かせてしまった「前科」をもつようなひと、、、など、、、、。
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これらの人たちは、日本で想像される以上の不便宜をこうむっているようだ。いわば、「禁治産者」とまではいかなくても、一種の「第二階級」として、クレジットカードを利用できる人と比べて、非常に不利な状況にあることになる、だろう。
で、このような一度失ってしまった「信用・クレジット」を「回復」して、再びクレジットカードを取得できるようにすることを専門にしている「弁護士」もいるようだ。(それほど、「クレジットの回復」が、大問題であり・かつ・コストに値する、というわけだ)。
日本も遅かれ早かれ、このような「クレジットカードを持てる者、と、持てない者」とでは「階級格差に等しいような便宜差・信用差」があるような社会、になっていくのではないだろうか。
とすると、上述の記事にあるような「気楽にサラ金からおろして、、、、」と言ったような人たちは、いわば「第二階級への下り階段」をたどっているといえないか。【今後は、サラ金を利用するなら、「人生半分捨てることになるかもしれない」というぐらいの危険性の自覚をもった方がいいのではないか】。
カリフォルニア大学の英語学校にいっているとき、スペインでバイヤーをしていたという日本人女性と知り合った。彼女に、「よく、(そんな堅くない仕事をしていて)クレジットカードがとれましたね」と聞くと「むかし、日本の会社につとめている時にクレジットカードを作った。それ以来、支払いだけはキチンとしているので、クレジットがキープできている」とのことであった。
将来、フリー(フリーター)になる可能性のある方は、この女性を見習って、作れるときにクレジットカードを取得しておき、「ほとんど使わないで、支払い実績をきれいにキープしておく」というのも、「手」かもしれない。(大学生協のTUOカードも、この意味でとっておくのは得策かもしれない)。
(いつも言っていますが、アメリカでは、VISA、か、マスターでないと、つかいものにならない。必ず、どちらかにしましょう)。
【注意】学生さんのなかにはクレジットカード自体をよく知らない人がけっこういるようだ。「サラ金」のカード(むじんくん・いらっしゃいましーん)では、ありません。(最近は後者でも前者も兼ねるものもあるようだが、、、、)。
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上記の日経の記事でも、ただ「カード」と表記して、クレジットカードとサラ金カードを区別していない。もちろん前者もキャッシング機能をもつので、両者の差異は必ずしも分別的ではないといえなくもない。しかし、両者を意識の上ではっきり区別しないのを、私は強く憂慮する。
というわけで、「クレジット(カード)のない第二階級」に「没落」する危険性があるのだ、とつよく警戒して、1クレジットカードは計画的に利用し焦げ付かせない(ただし、クレジットカード自体はとれる時に取得しておく)、2サラ金には手を出さない、ようにするとよさそうである。