政治哲学の最終解答?→「実質的亡命自由主義」の提案。

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960420政治哲学の大問題( 政治体制論) を、最終的に解決してしまうかもしれない「案」 を考えましたので、書いてみます。御笑覧ください。

960420【定義】実質的亡命自由主義:各政体( 国家) は各人に、「地球の裏側までの亡命 費用と、亡命の権利」を保証せよ。その他については、各人にどのような権利・義務を要 請しようとも、各政体( 国家) の勝手である。

960420いうまでもなく、もしすべての国家がこの主義を遵守するならば、「地球の裏側ま で」の条件は「過大」である。「飛び石どなりの政体まで」で十分だ。しかし、当面すべ ての国家のこの主義を遵守することは期待しにくいので、「地球の裏側まで」にした。

960420いうまでもなく、この「実質的亡命自由主義」は、各人に対して「国家の選択の自 由」を実質的に保証することによって、「どのような政治体制がのぞましい」という大問 題を、各人の選択にまかせて、いわば問題を、解消=解決してしまおう、とするのものだ 。

960420【命題( 仮説) 】「実質的亡命自由主義の最高性仮説」:実質的亡命自由主義は、 政治哲学( 政治体制論) における最高の解決案である。

960420『実質的亡命自由主義』の諸問題 として以下のものがあげられるだろう。

・少数国家による「寡占」の危険性問題
・「ただにげ」問題
・「参入の自由」「参入拒否の是非」問題
・「成長」の分け前問題
・メンバーシップの排他性問題
・成員の教育問題
・亡命費用の出所問題
・コネクションによる「外部効果・負効果」問題

これ以外にも、実質的亡命自由主義の短所を指摘してほしい。しかし、ただたんに短所を 指摘しただけでは、「実質的亡命自由主義が、政治哲学における最高の解決策である」と いう仮説に対する反駁にはならない。「実質的亡命自由主義をこえる代替案」をださない かぎり、この仮説は反駁されない。

(960420じつは、「積極的に」、この「実質的亡命自由主義が、政治哲学における最高の解 決策である」という仮説を「証明」してしまう手もあるかもしれない。すなわち、のぞま しい「解決策」は、前提的に実質亡命主義をはらんでしまうことがまずいえるかもしれな い。。一方、オッカムの剃刀のように、ありうべき「解決策」の属性は「最小」であるべ きである。すなわち、ありうべき「解決策」は、実質的亡命自由主義的であることを「必 要条件」する。そしてまた、実質的亡命自由主義は、十分条件である( この論証はどうす ればよいか)。オッカムの要請により、のぞましい解決策の属性は「少ないほどよい」。 よって結局、実質的亡命自由主義が「最高」である? 。と、いうように? 。あるいは、こ の「十分性」の論証はむずかしいが、上述の「必要性」と「最小性( オッカムの要請) 」 をつかえば、「代替案」には、すべて反駁できる?。)

960420このような「仮説提起」をすることで、他の政治思想は、実質的亡命自由主義を「 越える」ことを要請される。よってこの仮説提起は、「問題の整理」「諸思想の到達度の 測定」にかなり有用であろう。

960420本稿は、鹿児島大学での、95年夏のノージック読書会と、960419の有馬景一郎氏と のブレストによっています。感謝します。

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