桜井芳生
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961119「美人」というものは、いうまでもなく、「文化的に稀少的なるもの」の 一種である。よって、文化的稀少性の理論の「一各論」として「美人社会学」を 構想することが可能である。
961119美人社会学のフレームワークとしては、思いつくままあげると、以下のよ うな視点があげられるだろう。
【美人確定問題】当該の社会においていかなる女が「美人とされるのか」という いわば美人の定義問題を、当該の社会自体が解決しなければならないだろう。
【美人の神義論問題】なぜ、美人と不美人という「不平等」が存在してしまい許 されるのか、を、当該の社会は「説明」しなければならない場合が多いだろう。
【敗者の処遇問題】不美人本人の自我を慰撫することを社会がおこなった方がい い場合が多いだろう。いかにしてそれをおこなうか、という問題。
【美人観変動メカニズム問題】ある種の社会では、どのような女をもって美人と するかの美人観が、ある程度「変動」した方が好都合であろう。その変動のメカ ニズムを当該の社会にいかにして保持しているか、という問題。
【美人観変動説明問題】以上のように美人観が変動したとして、なぜ変動してし まうのかを、当事者たちに納得させる必要があるだろう。これをいかにしている か、という問題。
【美人をめぐる、男女差異問題】なにをもって美人とするかが、男女で異なるこ とがあるだろう。いかに異なるか、なぜ異なるか、そのズレを社会はどう処理す るかという問題。
【美人カゲヒナタ問題】表だって美人を評価選好する社会と、表だっては、そう しない社会があるだろう。当該の社会は、どちらか。それはなぜか。
【不美人妻の夫納得問題】不美人の妻をもってしまった夫に「なぜ俺は、こんな ブスをめとってしまったのか」について、当該社会はいかにして慰め納得させて いるか、という問題。
美人社会学は、まずは、当該の社会が以上のような諸問題をいかにして「処理」 しているかの「諸類型の掛け合わせ」として記述することからスタートすること ができるだろう。(鹿児島大学学生平山氏の一連の議論に啓発された。感謝 します)。