若者の若者文化離れ仮説、への、ホルモン時系列推移の状況証拠?
2018年12月18日
桜井芳生
【要約】カナザワを援用して、若年男性の犯罪と創造性の同根性を仮説し、ミラーを援用して、それが、性淘汰による、潜在的適応度の顕示行動である蓋然性が高いことを指摘した。いわゆる「若者文化」がほぼこれに対応すると仮説した。
さらに新たな仮説として、近年、若者の若者文化離れ現象が生じているとした。VERMEULENらによるフリーテストステロンの経年齢変化と上記二者の曲線が非常に類似していることを指摘し、ホルモンとの関連を示唆した。日本の血液検査会社に問い合わせることにより男性のフリーテストステロンの「基準値」が、経時代的に低下していることを確認した。最後にこの種の「基準値」が比較的少数のサンプルから算出されていることに注意を促した。(要約終わり)
(本稿は、拙ブログ「若者の、若者文化離れ現象 三つの仮説」 http://yoshiosakurai.cocolog-nifty.com/blog/2018/09/post-4801.html
の続稿として書いてブログに載せようとしましたが、どうも図類がうまく表示されないので、ウェブで、アップします)。
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これまでのあらすじからのべましょう。まずは、サトシ・カナザワの論文"Why productivity fades
with age: The crime–genius connection"(年齢とともに生産性が低下する理由:犯罪と天才のつながり)の紹介をしました。カナザワによるとヒトのオス(男性)の「文化的創造性」を縦軸に年齢を横軸にすると以下のようなヒストグラムが描けます。
さらにカナザワは、ジェフリー・F.ミラーの論文より、いかのようないくつかのグラフを紹介します。
非常によくにていますね! (ただし、頂点の年齢は微妙に違います。この点の考察は前稿でおこないました)。
『恋人選びの心』のジェフリー・F.ミラーですから、ここから、以上のグラフは、すべて、ヒトのオス=男性の性淘汰メカニズムになにほどか関係しているだろう、とわたし(桜井)は推測したわけです。簡単にいえば、メスにいいとこ見せよう!として、やっている、と。
さらにカナザワは、ヒトのオス=男性の年齢犯罪曲線もあげます。これも非常にかたちがにていますね! なにか、通底性を強く示唆しますね! まさに「犯罪と天才のつながり」(カナザワ)です。
「合理的」に考えると、男性の少年=若年犯罪率の高さほど、理解しがたいものはないでしょう。平均的全体的期待値的に考えて、男性の少年・若年の率の高い犯罪は「わりにあわない」でしょう。
それで、わたしは、この曲線は、犯罪とか天才といった感覚をヒトの祖先が獲得するよりも進化史的に以前に獲得したもの、と推測したわけです。カブトムシの雄どおしレスリングをしたり、ツノの大きな草食動物の雄たちが、発情期につの相撲をしたり、蜘蛛が蜘蛛相撲をしたりするのと進化的に同機能だと推測したわけです。
さらにわたし(桜井)は以下のグラフもみいだしました(VERMEULEN et al.)。回帰直線をむしして、むしろ、散布ドットの方に注目してください。これまた、上記の諸曲線と酷似してますね!
というわけで、ヒトの男性の若者文化=青春文化現象は、進化史的に善悪の感覚の獲得より古く、現代からみると「悪い」行為も「善い」文化も双方励起している蓋然性が高そうですね。
そしてそれは、すくなくともフリーテストステロンレベルと強く関連していることがありそうですね(つまり仮説として経験的にたしかめてみるに値する、ということ)#。どっちが原因か、また、未知の第三の原因があるかはわかりませんが。
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さらにわたし(桜井)は、近年のすくなくとも日本の若年男性には、「若者文化=青春文化」からの離脱現象が生じているのではないか仮説しました(経験的にたしかめてみるに値する、ということ)%。
3-1-1-2図 少年による一般刑法犯 検挙人員・人口比の推移(年齢層別)
http://hakusyo1.moj.go.jp/jp/62/nfm/n62_2_3_1_1_2.html
ここ30年ほどで、少年犯罪は3分の1程度になっていますね!
「DiGiRECO」という楽器店などのおいてあった、フリーペーパーをご存知でしょうか。以下その一文です
pdfが読みにくくて恐縮ですが
「若者の楽器選好率が低迷し、女子にモテたいといって、車をかったり、バントを組んだり、ということが以前に比べると減少しました。その結果、顧客層をシニアにシフトする傾向が増えたように感じます」
とのことです。
ちなみに
https://digireco.com/company/(2018年10月10日閲覧)よると
「DiGiRECOは業界初の音楽機材のフリーペーパーとして2006年に創刊。全国の楽器店、リハーサル・スタジオ/ライブハウス、音楽専門学校などで配布。
2018年8月よりオンライン・コンテンツ化。」
ということで、つまりは、紙媒体としての当誌は、この直後に休刊(まあ終刊)してしまいました。
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とすれば、もしこの#と%がともになりなっているとすると、近年の日本の若年男性においてはフリーテストステロンのレベルが低下しているのではないかという推測がなりたちます(経験的にたしかめてみるに値する、ということ)。
これは、生理的量についての事実についての推測なので、すぐ確かめられそうが気がしますね!
というわけで、すこし調べてみたのですが、もちろんわたしの調べがいたらないせいかともおもいますが、ある特定の国のある特定の年齢層の特定の性別の人たちを同様なサンプリング方法で抽出し、同様な計測方法で、ある特定のホルモンのレベルを、5年なり10年なりの間隔で、経時代的に調査した研究というのは、意外にみつからないのです。
この点、日本の「人口動態調査」とか、社会学界の「SSM」とか、「青少年の性行動全国調査」とかはすばらしいプロジェクトだとあらためて感服いたしました。敬意を表します。
はなしをもどしまして。
で、わたしの自分の「健康診断の結果」がひらめきました(S大学のKさんとのおしゃべりがヒントになりました。多謝!!)! ここに自分のフリーテストステロンのレベルがかいてあるではありませんか!(健康診断のバージョンによって、分析・計測してない場合もあります)。
いうまでありませんが、ここで関心をひくのは、わたし(自分)のフリーテストステロンの値ではなくて、そのとなりにかいてある「基準値」の方です。
「基準値」がある以上は、その基準値を策定する根拠となった「調査」があるはずですよねぇ? というわけで、日本におけるフリーテストステロンの基準値ならびにその策定根拠調査の探索にうつりました。ところ、、、、、、
以下のような記述をみつけました
http://www.crc-group.co.jp/crc/info/info-15/03-01.html 2018年10月5日 閲覧
というわけで、基準値変更の根拠をこの会社さんに問い合わせてみました。
そうしたところご丁寧なご教示をいただきました。
ご多忙のところのなんの関わりもない当方に問い合わせに詳しくご回答くださった、株式会社 シー・アール・シー 様に深く感謝申し上げます。
(コピーのためのかすれのようなものがみえるかとおもいますが、ちょうだいしたpdf自体がこうでした)
(自分備忘用ファイル名 180928 遊離 フリー テストステロン 検査 基準値 変更 引用資料)
さらに以下のウェブページもみつけました
http://www.crc-group.co.jp/crc/info/info-28/16-02.html 2018年10月5日 閲覧
「遊離テストステロン」検査受託再開のお知らせ
さて、標記項目につきましては測定試薬の販売中止に伴い、検査受託を中止(CRC Information No.15-01)しておりましたが、このたび、体外診断用医薬品として承認された測定試薬の販売が開始されました。
これに伴い、検査内容を変更し検査受託を再開いたしますので、ご案内申し上げます。
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以上、基準値が、全年齢になっていたり、全年齢表示がなく、年代表示しかなかったりして、不統一で、読みにくいですが、まとめると以下の通りとなります。
1990年 (全年代男性) 15.2pg/mL 〜 43.5pg/mL
2000年 (全年代男性) 5.1pg/mL 〜19.0pg/mL
これをグラフに表すと以下となります。(上線が基準値上限、下線が基準値下限。以下同様)
旧 基準 (20代男性) 8.5pg/mL 〜
27.9pg/mL
2016年 新 基準 (20代男性) 7.6pg/mL 〜 23.8pg/mL
これをみると、とくに 1990年代に、基準値の低下が大きかったことがみてとれます。それのもととなった実測値も変化したことが推測できるかもしれませんね!。
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★★ それにしても、サラリーパーソンの人たちは、ほぼ強制的に会社から健康診断をうけさせられるとおもいますが(労働安全衛生法による)、そこで、でてくる「血液検査」の「結果数値」に一喜一憂しているひとも多いとおもいますが、
そこで、「喜憂」の根拠となっている「基準値」の(少なくとも一つ)が、「たった15人の日本人の観測値」(たとえば、上記平成12年12月11日づけ、50歳代男性)とかからきまっていたなんてご存じでした??
(ホルモン関連の文献など、鹿児島大学医学部A先生に多大なご教示いただきました。感謝いたします)。
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桜井 芳生
Yoshio
SAKURAI
http://yoshiosakurai.cocolog-nifty.com/
キーワード 文献 など
Kanazawa,
Satoshi
Volume
37, Issue 4, August 2003, Pages
257-272
Journal
of Research in Personality
Why productivity
fades with age: The crime–genius
connection
https://doi.org/10.1016/S0092-6566(02)00538-X
Miller,
G. F. (1999). Sexual selection for
cultural
display. In R. Dunbar, C. Knight, & C. Power (Eds.),
The
evolution of culture: An
interdisciplinary
view (pp. 71–91). New Brunswick: Rutgers University Press.
恋人選びの心 : 性淘汰と人間性の進化
ジェフリー・F.ミラー著 ; 長谷川眞理子訳
岩波書店, 2002.7 第1巻 第2巻
発達障害の原因と発症メカニズム: 脳神経科学の視点から
単行本
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2014/5/19
黒田 洋一郎 (著), 木村- 黒田純子 (著)
The
Apparent Free Testosterone
Concentration,
An Index of Androgenicity
A.
VERMEULEN T. STOÏCA
L.
VERDONCK
The
Journal of Clinical Endocrinology &
Metabolism,
Volume 33, Issue 5, 1 November 1971, Pages 759–767, https://doi.org/10.1210/jcem-33-5-759
Published:
01 November 1971
若者 若者文化 離れ 仮説 ホルモン 時系列 推移 状況証拠 時代 年齢
カナザワ 犯罪 創造 性 ミラー 性淘汰 潜在 的 適応 度 顕示 行動 若者の若者文化離れ現象 VERMEULEN フリーテストステロン 経年変化 類似 ホルモンとの関連 血液 検査 会社 基準値 低下 少数のサンプル
男性の年齢犯罪曲線 進化史的に以前に獲得したもの カブトムシ ツノの大きな草食動物の雄 蜘蛛相撲
「若者文化= 青春 文化 」からの離脱現象
少年 犯罪 率
若者の 楽器 選好 率 女子にモテたい 車 バンド 人口 動態 調査 SSM 青少年 の 性 行動 全国 調査 日本 性 教育 協会
健康診断
1990年代 基準値の低下 労働 安全 衛生 法 結果数値
たった 15 人 の 観測 値